パーソナルジム2店舗目で売上20万円が半年続いた話 -- 広告の失敗と口コミ集客への転換を全公開

パーソナルジムの1店舗目が軌道に乗ると、次に頭をよぎるのが「2店舗目を出すタイミング」です。
1店舗目で積み上げた運営ノウハウがあるのだから、2店舗目はもっとスムーズにいくはず。私もそう考えていました。しかし、現実はまったく違いました。
2024年8月、岡山で2店舗目のパーソナルジム「FIREFITNESS」をオープン。初期投資は1店舗目の1.25倍。スタッフも2名増やし、万全の体制で臨んだつもりでした。ところが開業後半年間、月の売上は20万円から30万円のまま停滞しました。
この記事では、2店舗目の出店で私が犯した失敗と、そこからどうやって安定集客にたどり着いたかを、具体的な数字とともにお伝えします。これからパーソナルジムの多店舗展開を考えている経営者にとって、同じ轍を踏まないための参考になれば幸いです。
1店舗目の成功体験が「罠」になる
FIREFITNESSの1店舗目は岡山市島田本町、岡山駅の近くに2021年4月にオープンしました。開業当初こそ苦労しましたが、徐々に会員数が増え、価格改定を経て平均単価9,750円、リファラル中心の安定経営に到達しました。
この成功体験が、2店舗目の判断を歪めました。
1店舗目ではGoogleビジネスプロフィール経由のローカル検索が集客に効いていました。地図で「パーソナルジム」を検索して見つけてくれる顧客が一定数いた。だから2店舗目でも同じ導線が機能すると思い込んでいたのです。
しかし、2店舗目の立地ではローカル検索はそれほど効果が出ませんでした。1店舗目が岡山駅近くという「地図で探す人の属性が強い立地」だったからこそうまくいっていたのであって、立地条件が変われば集客動線もまったく変わるという当たり前の事実を、成功体験が覆い隠していました。
Google PMAX広告に10万円投じて成果ゼロ
2店舗目のオープン時、集客の柱として選んだのがGoogle PMAX広告でした。
月5万円から10万円の予算を投下。結果は、ほぼ全額がミスマッチな配信に消えました。PMAXは自動最適化を売りにしていますが、パーソナルジムのような小規模ローカルビジネスでは、配信対象が広がりすぎてターゲットに届かないケースが起きます。
チラシも試しましたが、反応率は期待を大きく下回りました。
ここから半年間、月の売上は20万円から30万円。1店舗目の開業初月とほぼ同じ水準です。ただし2店舗目はスタッフ2名の人件費が加わっているため、キャッシュフローは1店舗目の開業時よりはるかに厳しい状況でした。
振り返ると、この時期に本当に注力すべきだったのはGoogle広告ではなく、Googleビジネスプロフィールの口コミを地道に増やすことでした。
口コミ25件で月1-2名の安定集客ができるまで
転機になったのは、Googleマップの口コミ戦略に舵を切ったことです。
具体的にやったことはシンプルです。顧客にノベルティのボールペンをプレゼントする代わりに、Googleマップの口コミを投稿してもらうようにお願いしました。
ポイントはタイミングです。入会直後ではなく、1ヶ月経過時点、もしくは何かしらの効果を実感できた瞬間に呼びかけます。顧客のモチベーションが一番高い瞬間を狙う。この使い分けによって、内容の伴った口コミが集まりやすくなりました。
ただし、現実的に増えるペースは月1件から2件です。派手な施策ではありません。
しかし、この地道な積み重ねが数字に現れ始めました。口コミ件数と問い合わせ数の関係を振り返ると、明確な閾値がありました。
- 口コミ5件未満:問い合わせゼロ
- 口コミ10件から20件:月に1人来ればいいほう
- 口コミ25件超:月に1人から2人が安定して問い合わせ、契約率は70%から80%
口コミが25件を超えたあたりから、検索上位に表示されやすくなり、そこからの接触が安定的に発生するようになりました。Google広告に月10万円を使っていた時期よりも、口コミ25件のほうが圧倒的にコストパフォーマンスが高い。広告費ゼロで月1名から2名の新規が入るわけですから。
「興味本位の顧客」が混ざる問題とその見極め方
ただし、口コミ経由の集客にも課題があります。流入は増えたものの、1店舗目のリファラル中心だった頃と比べると契約率が下がりました。原因は、興味本位で来る顧客が混ざるようになったことです。
来店動線を分析してわかったパターンがあります。
契約率が低い動線: Googleマッププロフィールからジムのランディングページを見て、すぐにLINE登録、すぐに体験予約。この「即決型」の動線を辿る顧客のなかには、興味本位で複数のジムを回っているだけというケースが混ざっています。
契約率が高い動線: Google検索(オーガニック)でジムのLPにたどり着き、ページをしっかり熟読してからLINE登録・体験予約に進む顧客。この層は、自分で情報を調べて納得した上で来ているため、体験後の契約率が高い。
この判別は感覚ではなく、Microsoft Clarityのヒートマップで分析しています。LPの滞在時間とスクロール率を見ることで、「このお客様はLPをじっくり読んでいる」「このお客様は上部だけ見てすぐ体験予約した」という違いが可視化できます。
さらに、LPに設置しているUTMパラメータで「Googleマップ経由」か「オーガニック検索経由」かを体験申し込み時に自動判別する仕組みも入れています。来店動線によって体験時のアプローチを変えることで、契約率の底上げを図っています。
口コミの数が増えたことで20代から30代の若い層も来るようになりました。1店舗目ではリファラル中心で40代から50代の経営者・会社役員が多かったので、客層の幅が広がったのは多店舗展開ならではの変化です。
2店舗目の価格設定と集客施策の使い分け
2店舗目では価格設定を最初から変えました。1店舗目は単価4,000円スタートで失敗した経験を踏まえ、2店舗目は最初から平均単価7,000円で設計しました。
集客施策についても、1店舗目とは使い分けています。
1店舗目での最大の武器はリファラルです。既存顧客からの紹介で入会した顧客のLTVは7万円から8万円。獲得コストがほぼゼロであることを考えると、これが最も利益率の高いチャネルです。
2店舗目ではリファラルがまだ回り始めていなかったため、メタ広告も併用しました。最も効果が出たのは夏のキャンペーンです。54,000円の8回コースを39,800円に割引し、メタ広告で配信。広告費3万円に対して売上14万円、6人がキャンペーンから来て実際に継続契約したのが3人。継続率50%です。
ただし、キャンペーン価格から通常価格への移行時に離脱が起きやすいという構造的な問題があります。長期的に見れば、やはり通常価格でリファラル経由から入会してもらうほうがLTVは高い。メタ広告は「リファラルが回るまでの橋渡し」という位置づけです。
多店舗展開で予約管理の複雑さが跳ね上がる
2店舗目を出して最も痛感したのは、予約管理の複雑さが店舗数に比例するのではなく、倍以上に膨らむということです。
1店舗目は私一人で運営していた時期もあったので、予約の管理は頭の中でもある程度回せました。しかし2店舗目ではスタッフを2名増やし、稼働ブースも増やしました。スタッフを増やした理由は「実際に稼働するブースがもう一つ欲しかった」からです。
トレーナー3名体制で複数ブースを同時稼働させると、「どのトレーナーが、どのブースで、何時から何時まで」という3軸の管理が不可欠になります。これをGoogleカレンダーの色分けやスタッフ間の口頭連絡で回すのは、もはや現実的ではありません。
1店舗目の開業当初はGoogleカレンダーで管理していましたが、会員数が20人を超えた時点で限界が来ていました。LINEでの予約やり取りに1日30分以上取られ、セッションの合間に返信が追いつかない。2店舗目ではこの轍を踏まないよう、最初から予約管理システムを導入し、顧客自身が予約・変更・キャンセルをセルフ操作できる環境を用意しました。
多店舗展開を考えるなら、1店舗目の段階でシステムを整備しておくことを強く推奨します。2店舗目のオープンと同時にシステム移行を行うのは、業務量が最も多い時期に最も手間のかかる作業を重ねることになり、現場が回らなくなるリスクが高い。
データがあるからスタッフに任せられる
2店舗目を出すと、代表がすべてのセッションに立ち会うことは物理的にできなくなります。スタッフにセッションを任せる以上、「任せた結果がどうなっているか」を把握する仕組みが必要です。
fitbookerのダッシュボードでは、トレーナーごとのリピート率やキャンセル率が一画面に表示されます。この機能が、スタッフミーティングの質を変えました。
以前のミーティングは、私からの一方通行の指示でした。「最近この会員さん来てないから連絡して」「キャンセルが多い気がするから気をつけて」。すべて感覚ベースです。
ダッシュボードが使えるようになってからは、データを見ながら双方向の議論ができるようになりました。「このトレーナーはリピート率が高い。何が強みなのか」「このトレーナーはキャンセル率が他より高い。何が起きているのか」。数字があることで、スタッフ自身が自分の強みと弱みに気づき、改善のアクションを自発的に考えるようになったのです。
なんとなくの感覚では正しい数字は測れません。多店舗展開において、データに基づくスタッフマネジメントは売上に直結する要素です。
まとめ:2店舗目は「1店舗目の延長」ではない
パーソナルジムの2店舗目を出すとき、1店舗目で得た経験値は間違いなく活きます。ただし、「1店舗目と同じやり方でうまくいく」と思った瞬間に判断を誤ります。
私が2店舗目で学んだことを3つにまとめます。
1. 集客動線は立地で変わる。 ローカル検索が効く立地と効かない立地がある。1店舗目の成功パターンを盲信せず、新店舗の立地特性に合った集客戦略をゼロベースで設計すべきです。
2. 口コミは即効性がないが確実性がある。 月1件から2件のペースでも、25件を超えたあたりから安定集客の基盤になる。Google広告より時間はかかるが、コスト効率は圧倒的に高い。
3. 予約管理は1店舗目の段階でシステム化しておく。 スタッフが増えると管理の複雑さは倍以上に膨らむ。2店舗目のオープンと同時にシステム導入を始めると、一番忙しい時期に最も手間のかかる作業が重なり、現場が崩壊するリスクがあります。
fitbookerは、トレーナー指名とブース管理の3軸予約、回数券の自動連動、トレーナー別のパフォーマンス分析まで、多店舗展開に必要な機能をパーソナルジム特化で設計しています。月額9,800円、初月無料。2店舗目を検討している方は、まず1店舗目で試して運用に慣れておくことをおすすめします。
予約管理の悩みを fitbooker で解決しませんか?
パーソナルジム・フィットネスクラブ向けの予約管理SaaS。 月額¥9,800でトレーナー・顧客数無制限。7日間無料でお試しいただけます。