パーソナルジムの「夏だけ忙しい問題」を解決する — 閑散期の売上を繁忙期の85%まで引き上げた5つの施策

6月に入ると、問い合わせが急に増える。
「夏までに痩せたい」「薄着になる前に体を変えたい」。パーソナルジムを経営していると、この波が毎年やってきます。7月がピーク。8月は夏休みで少し落ち着いて、9月にもう一度盛り上がる。
問題はその後です。
10月から12月にかけて、体験予約がパタっと止まる。年末年始は「年明けから頑張ります」ラッシュ。1月にまた少し増えて、2月〜3月はまた沈黙。4月は新生活需要で少し戻り、5月は連休で停滞。
売上の6割が、5月〜9月の5ヶ月間に集中していた。
私が岡山でFIREFITNESSを開業して3年目のとき、ようやくこの構造的な問題に向き合いました。「忙しい月は忙しいし、暇な月は暇。仕方ない」と思っていたんです。でも、仕方なくない。閑散期の売上を放置することは、固定費を垂れ流しているのと同じです。
家賃は毎月同額。スタッフの人件費も毎月同額。なのに売上だけが、年間で40%以上ブレる。
この記事では、FIREFITNESSが閑散期の売上を繁忙期の85%まで引き上げるためにやった5つの施策を、具体的な数字とともに紹介します。
そもそも、なぜパーソナルジムは季節変動が激しいのか
フィットネスジム全般に季節変動はありますが、パーソナルジムは総合フィットネスクラブよりも波が大きい傾向があります。理由は明確で、月額会員制の総合ジムは「今月行かなくても引き落としは続く」ため、売上の底が浅い。一方、パーソナルジムは回数券や都度払いが主流なので、来なくなった瞬間に売上がゼロになる。
もう一つ見落としがちなのは、新規と既存の波が連動すること。繁忙期は体験が増えて新規が入り、閑散期は体験が減って新規が止まる。ここまでは当然。でも既存客も、繁忙期は「せっかくだから週2で通おう」とペースが上がり、閑散期は「今週はいいかな」とペースが下がる。
新規が減り、既存のペースも落ちる。ダブルパンチで閑散期の売上が沈む。
これに気づいたのは、fitbookerの分析ダッシュボードで月別の予約数を初めてグラフ化したときです。頭では「冬は暇」とわかっていましたが、数字で見ると想像以上の落差でした。
施策1: 回数券のクロージングタイミングを「真ん中」と「最後」に設定する
閑散期対策の一番の基本は、既存客を離脱させないこと。季節変動の影響を最も受けやすいのは、実は「なんとなく通っている層」です。明確な目標がある人は季節に関係なく来ますが、「健康のため」「体型維持のため」というぼんやりした動機の人は、寒くなったり忙しくなったりすると簡単にペースが落ちる。
うちのジムで効果があったのは、回数券の消化タイミングに合わせたクロージングの仕組み化です。
以前は回数券が残り1〜2回になってから「次の回数券どうしますか?」と聞いていました。これだと遅い。残り1回で聞かれたら、「ちょっと考えます」と保留されるのがオチです。そして保留されたまま来なくなる。
今は、回数券の真ん中(例: 8回券なら4回目)で一度、目標の再確認とモチベートを入れるようにしています。「最初に比べてここが変わりましたね」「次の4回でここを狙いましょう」という会話です。
そして最後の2回で、次の回数券の提案をする。ここでポイントなのは、「更新しますか?」ではなく「次の目標を一緒に決めましょう」という入り方をすること。回数券の更新は手段であって、目的は目標の継続。
この仕組みを全スタッフに共有したところ、トレーナーによるリピート率(回数券更新率)の差が縮まりました。一番高いトレーナーは85%、低いトレーナーは60%だったのが、全体の底上げにつながった。25ポイントの差があるということは、低い方のトレーナーのお客さんが10人いたら、2〜3人を取りこぼしていたということです。
施策2: 閑散期専用の回数券パッケージを作る
繁忙期と閑散期で、同じメニューを同じ価格で売り続ける必要はない。
FIREFITNESSでは10月〜2月の閑散期に、通常とは別の回数券パッケージを用意しています。「冬季集中コース」のような名前にはしません。季節限定感を出すと、「冬が終わったらやめよう」という意識を植え付けてしまうからです。
代わりに、通常より1〜2回多い回数券を同じ価格で出す。8回券の価格で10回券にする。実質的な値引きですが、「安くなった」ではなく「お得になった」という印象になる。そして、回数が多い分だけ通う理由が増え、ペースの低下を防げる。
ここで重要なのは、回数券に有効期限を設定すること。期限がないと「いつでも来れるから今日はいいか」が続く。fitbookerでは回数券の期限管理を自動化しているので、期限が近づくとLINEで自動通知が届きます。「あと2回、残り14日です」と来たら、人は動きます。
施策3: 閑散期にこそ「データ共有ミーティング」を強化する
閑散期に暇になると、スタッフのモチベーションも下がります。予約が少ない日が続くと、「このジム大丈夫かな」と不安になる。これは経営者だけの問題ではなく、スタッフも同じです。
うちではスタッフミーティングで分析データを共有する習慣を続けています。fitbookerのトレーナー別分析で、各スタッフの稼働率・リピート率・売上を数字で出す。
これを閑散期に始めたことで、ミーティングの質が明確に変わりました。
以前のミーティングは「何かありますか?」「特にないです」で終わっていた。数字を見せるようになってからは、「この数字をこう改善したい」と具体的に話してくれるようになった。個人の主観で終わらず、「じゃあこの数字を狙おう」と決まると、全員がその達成方法を考え始める。
例えば、あるスタッフは夜の予約は埋まるのに昼がスカスカということがデータで見えた。逆に別のスタッフは昼が埋まりやすい。この偏りに気づけたのはデータのおかげで、ミーティングで共有することで「なぜそうなっているのか」「どうすればお互いの弱い時間帯を埋められるか」という建設的な議論が生まれました。
閑散期は「暇だから仕方ない」ではなく、「暇だからこそ改善に時間を使える」。この考え方をチームに浸透させるのに、データ共有は最も効果的な手段でした。
施策4: 休眠客への「再開シナリオ」をLINEで自動化する
閑散期に離脱しやすいのは、直近2〜3ヶ月で来店ペースが落ちている会員です。完全に退会した人を追いかけるより、まだ辞めていないけど足が遠のいている人にアプローチする方が圧倒的に効率がいい。
うちでは、fitbookerの来店間隔モニタリング機能を使って、前回来店から2週間以上空いた会員を自動検出しています。そしてLINEで個別にメッセージを送る。
ただし、「最近来てないですね」というメッセージは絶対にNG。監視されている感を与えます。代わりに、新しいメニューの案内や、季節に合わせたトレーニングの提案を送る。
「寒くなってきましたね。冬は基礎代謝が上がるので、実はダイエットに最適な季節です。この時期に筋量を増やしておくと、春の薄着シーズンに差がつきます」
こういうメッセージは、売り込みではなく情報提供です。「へえ、冬の方が痩せやすいんだ」と思ってもらえれば、予約のきっかけになる。
**閑散期の集客は、新規を増やすことより「既存客の来店頻度を維持すること」の方が費用対効果が高い。**広告費ゼロで売上を回復できるからです。
施策5: 体験予約の導線を閑散期に「逆張り」で整備する
繁忙期は何もしなくても体験が来る。だからこそ、繁忙期に予約導線の改善はしない。忙しいときに導線をいじると、今来ている予約に影響が出るリスクがある。
閑散期こそ、体験予約の導線を見直すタイミングです。
うちでは毎年10月〜11月に、以下の3点を見直しています。
1. Googleマップの写真と説明文の更新 Googleマップからの体験予約が集客の柱なので、季節ごとに写真を入れ替える。冬は暖かそうなジム内の写真を前面に出す。「寒い外から暖かいジムへ」という印象を与える。
2. 体験予約フォームのステップ数チェック 体験予約が3クリック以内で完了するか。フォームの項目が増えすぎていないか。半年経つと「これも聞いておこう」と項目を追加しがちなので、定期的に削ぎ落とす。
3. 体験後のフォローアップ改善 体験を受けた人が入会しなかった場合、どのタイミングでフォローしているか。体験の翌日にお礼LINEを送り、3日後に入会案内を送り、7日後に最後のフォローを入れる。この3ステップのタイミングと文面を、閑散期に改善しておく。
繁忙期になってから「体験からの入会率が悪い」と気づいても遅い。閑散期に整備しておけば、次の繁忙期で回収できる。
季節変動は「なくす」のではなく「ならす」
完全に季節変動をなくすことはできません。「夏までに痩せたい」需要は構造的なもので、パーソナルジムがコントロールできるものではない。
でも、閑散期の売上を繁忙期の60%→85%に引き上げることは可能です。うちで実際にやったのは、特別なことではなく、
- 既存客の離脱を防ぐ(回数券クロージングの仕組み化)
- 閑散期に来る理由を作る(回数券パッケージの工夫)
- チームの意識を数字でそろえる(データ共有ミーティング)
- 休眠予備軍に先手を打つ(LINE自動フォロー)
- 次の繁忙期に備えて導線を整備する
この5つの合わせ技です。
どれか一つで劇的に変わるわけではない。でも5つを同時にやると、閑散期に「やることがない」状態がなくなる。やることがあれば、スタッフのモチベーションも維持できる。モチベーションが維持できれば、セッションの質が上がる。質が上がれば、リピート率が上がる。
閑散期の過ごし方が、次の繁忙期の売上を決める。
fitbookerが閑散期対策で使える理由
上に書いた5つの施策のうち、3つはfitbookerの機能で自動化・効率化できます。
- 回数券の期限管理と自動通知: 期限が近い会員にLINEで自動通知。トレーナーが手動で管理する必要なし
- 来店間隔モニタリング: 前回来店から一定期間が空いた会員を自動検出。休眠予備軍を見逃さない
- トレーナー別分析ダッシュボード: 稼働率・リピート率・売上をトレーナーごとに可視化。ミーティングの資料作りが不要
パーソナルジムの季節変動に悩んでいる方は、まず「閑散期に何ができるか」を整理するところから始めてみてください。
fitbookerは、パーソナルジム専用の予約管理SaaSです。予約・シフト・回数券・決済・分析を一つの画面で管理できます。 fitbooker.jp →
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