ジム経営ノウハウ2026-05-16·10分

パーソナルジム開業で「単価4,000円」から始めた私が、9,750円に上げるまでにやったこと

パーソナルジム開業で「単価4,000円」から始めた私が、9,750円に上げるまでにやったこと

パーソナルジムを開業するとき、一番悩むのが料金設定です。

高すぎると集客できない。安すぎると利益が出ない。この当たり前のジレンマに対して、「とりあえず安めで始めて、あとから上げればいい」と考える人は多い。私もそうでした。

2021年4月、岡山市島田本町でパーソナルジム「FIREFITNESS」を開業したとき、1セッションの単価を4,000円に設定しました。結論から言えば、これは失敗でした。そして、現在の平均単価9,750円に至るまでの道のりで、顧客の4割を失っています。

この記事では、パーソナルジム開業時の料金設計でやりがちな失敗と、単価を段階的に引き上げる過程で見えた「価格と顧客層の関係」について、具体的な数字とともにお伝えします。

開業初月、売上20万円の現実

FIREFITNESSの1店舗目をオープンした2021年4月。会員数は約10人、セッション単価は4,000円。月の売上は20万円から30万円でした。

家賃、光熱費、機材のリース料を差し引くと、手元にはほとんど残りません。「まずは会員を増やして、あとから単価を上げよう」という計画でしたが、単価4,000円で集まる顧客には一つの傾向がありました。

価格が最優先の判断軸になっている層が多いということです。

この層は、少しでも安いサービスがあればそちらに流れます。トレーナーとの関係性や指導の質よりも、「今月は出費を抑えたいからお休みする」という判断が先に来る。結果的に、来店頻度が安定せず、離脱も早い。安く始めたことで集まった顧客層が、そもそも長期継続しにくい属性だったわけです。

パーソナルジムの経営は、新規獲得よりも既存顧客の継続で成り立ちます。月の売上が20万円でも、全員が半年以上続けてくれるなら経営は安定します。逆に、月50万円の売上があっても3ヶ月で半分が辞めるなら、常に新規獲得コストに追われることになる。開業初月の段階で、この構造に気づけていませんでした。

「1,500円ずつ、1年ごと」の段階的値上げ

単価4,000円からの脱却は、一気にではなく段階的に進めました。

まず平均単価を6,500円まで引き上げ。その後、年に1回のペースで約1,500円ずつ上げていきました。最終的に現在の平均単価は9,750円。開業時の2.4倍です。

なぜ一気に上げなかったのか。それは、価格改定のたびに離脱が起きるからです。

累計で見ると、開業時から継続している顧客のうち約4割が、価格改定のいずれかのタイミングで離脱しました。この数字だけ見ると「4割も失った」と感じるかもしれません。実際、値上げを決断するときは毎回怖かった。しかし、残った6割の顧客と、値上げ後に新たに入会した顧客の質が、経営の安定度を根本的に変えました。

段階的な値上げには、もう一つの意味がありました。1,500円ずつであれば、既存顧客にとっても「急に倍になった」という印象がなく、サービスの価値に見合った調整として受け入れてもらいやすい。値上げ幅が大きすぎると、金額の変化そのものがネガティブなインパクトを持ちますが、年に一度の小幅な改定であれば、日頃の指導の質で納得感を維持できます。

値上げ後に変わった顧客属性とリファラル構造

単価9,750円になった現在、FIREFITNESSの顧客層は開業当初と大きく変わりました。

最も多いのは40代から50代の会社役員、部長、課長、事業経営者という属性です。この層は、価格よりも「自分の体に投資する価値」を理解しており、一度通い始めると長期継続する傾向があります。

そして、集客チャネルにも変化が起きました。現在の新規顧客獲得は、基本的にリファラル(既存顧客からの紹介)のみです。

「この金額だと、地方ではウェブ集客は難しい」というのが正直な実感です。1セッション9,750円のパーソナルジムを、Google広告やSNS広告で見つけて即決する層は、地方都市では限られています。しかし、既存顧客が知人に紹介してくれる場合、「あの人が通っているなら信頼できる」という文脈が価格のハードルを下げてくれます。

実際に、リファラル経由の顧客のLTV(生涯顧客価値)は7万円から8万円のラインです。広告経由と比べて獲得コストがほぼゼロであることを考えると、利益率は圧倒的に高い。

2店舗目を出した際にはメタ広告も試しました。夏のキャンペーンで、54,000円の8回コースを39,800円に割引して配信したところ、広告費3万円に対して売上14万円。ROASだけ見れば悪くない数字です。しかし、キャンペーン価格から通常価格への移行で継続率が落ちることを考えると、やはりリファラルで通常価格のまま入会してもらうほうが、長期的にはLTVが高い。

値上げは顧客を減らす行為ではなく、「自分のジムに本当に合う顧客層を選ぶ」行為だと、今は考えています。

2店舗目で最初から変えたこと

2店舗目の開業では、1店舗目の教訓を活かしていくつかの点を変えました。

まず、価格設定。2店舗目は最初から平均単価7,000円でスタートしました。1店舗目の4,000円スタートで起きた「安さで集まった顧客層の離脱サイクル」を避けるためです。

次に、スタッフ体制。2店舗目ではスタッフを2名増やした状態でオープンしました。1店舗目は私一人で始めたため、セッション・予約管理・集客・経理をすべて抱え込む状態になり、結果として予約対応の遅れや管理漏れが頻発していました。

そして、予約管理の仕組み。1店舗目の開業当初はGoogleカレンダーで予約を管理していましたが、会員数が20人を超えたあたりで限界が来ていました。LINEでの予約やり取りに1日30分以上取られ、セッションの合間に返信が追いつかない。2店舗目では最初からシステムを導入し、顧客自身が予約・変更・キャンセルをセルフ操作できる環境を用意しました。

スタッフが増えると、予約管理の複雑さは人数に比例して上がります。「どのトレーナーが、どのブースで、何時から」という3軸の管理を、スタッフ間の口頭連絡やGoogleカレンダーの色分けで回すのは無理があります。開業時点から、トレーナー指名とブース管理を同時に制御できるシステムを入れておくことで、ダブルブッキングのリスクをゼロにし、スタッフ増員にもスムーズに対応できます。

開業時の料金設計で押さえるべき3つの原則

5年間の運営と値上げの経験を踏まえて、パーソナルジム開業時の料金設計について、私なりの原則を3つにまとめます。

1. 「最初は安く」の誘惑に負けない

安い価格で始めると会員数は増えやすいですが、その顧客層は価格感度が高く、値上げ時の離脱率も高い。最初から「この価格でサービスを提供し続けられるか」を基準に設定すべきです。地方であっても、パーソナルジムのセッション単価は6,000円以上を起点にすることを推奨します。

2. 値上げは「年1回、小幅」を前提にスケジュールする

いつか上げなければならないのであれば、最初からそのスケジュールを組み込むべきです。1年ごとに1,000円から1,500円の改定であれば、既存顧客の許容範囲に収まりやすい。改定の際は、サービス内容の拡充(新しいプログラムの追加、設備の更新など)と紐づけると、値上げの理由が明確になります。

3. 回数券の設計は「継続のしやすさ」を軸にする

パーソナルジムの料金体系は回数券制が主流ですが、回数と有効期限の設計が継続率を大きく左右します。FIREFITNESSでは8回と12回の回数券を中心にしており、週1回ペースで無理なく消化できる設計にしています。回数券の残りが少なくなったタイミングでLINE通知を送ることで、「回数券が切れたからなんとなく行かなくなる」という自然離脱を防いでいます。

この回数券管理を手動でやるのは現実的ではありません。予約を入れたらチケットが自動消費され、キャンセルすれば自動で戻る。残数が2枚になったら通知が届く。この仕組みが予約システムに内蔵されているかどうかが、回数券制のパーソナルジムにとっては重要な選定基準です。

まとめ:価格設計は経営戦略そのもの

パーソナルジムの開業において、料金設計は単なる「いくらにするか」の問題ではありません。どんな顧客層を集め、どんな集客チャネルで成長し、どんな経営モデルを構築するか。すべてが価格に紐づいています。

単価4,000円からスタートし、4割の離脱を経て平均単価9,750円に到達するまでの過程は、決して効率的ではありませんでした。最初から6,000円以上で始めていれば、もっと早くリファラル中心の安定経営に移行できたはずです。

これからパーソナルジムを開業する方、あるいは現在の価格に疑問を感じている方は、「今の単価で集まっている顧客層は、自分が理想とする経営モデルに合っているか」を一度立ち止まって考えてみてください。

fitbookerでは、回数券の自動管理、来店データに基づく顧客分析、LINE通知による継続促進など、パーソナルジムの料金戦略を仕組みで支える機能を揃えています。料金設計と予約管理の両方を見直したい方は、まず無料トライアルで自分のジムのデータを入れてみてください。

fitbooker 公式サイト →

予約管理の悩みを fitbooker で解決しませんか?

パーソナルジム・フィットネスクラブ向けの予約管理SaaS。 月額¥9,800でトレーナー・顧客数無制限。7日間無料でお試しいただけます。

#パーソナルジム開業#料金設計#ジム経営#価格戦略#fitbooker